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立花宗茂はニワトリの羽根で兜を飾っていた?!前半

2023/1/11

来たる1月27日のオンラインツアーで大解剖される「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」。その兜を飾るニワトリの羽根について、フカボリします。

 

現存する立花宗茂の甲冑は、当館所蔵の2領「鉄皺革包月輪文最上胴具足」と「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」です。どちらも兜に鳥の羽根で作られた飾り(鳥毛後立)が付いています。

鉄皺革包月輪文最上胴具足

伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、動物性の素材は経年劣化が進みやすく、今の羽根飾りは、20年程前の修理時に補修されたものです。残されたわずかな羽根を頼りに探し求めた末、熊本県八代市の久連子鶏(熊本県指定天然記念物)の尾羽と近しいことが分かり、同地区の保存会の皆様のご厚意により貴重な尾羽をご恵贈いただきました。

久連子鶏 雄(写真提供 八代市)

久連子鶏 雄・雌(写真提供 八代市)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このお陰で、光を受けて玉虫色に輝く鳥毛後立が再現され、宗茂の勇姿がイメージしやすくなっています。

実際、宗茂の兜の羽根(鳥毛後立)は、ニワトリの尾羽を束ねたものです。

現代の修復時には貴重な久連子鶏の尾羽を使わせていただきましたが、400年以上前を生きていた宗茂が、希少だからという理由で「久連子鶏の尾羽」を指定したわけではありません。

 

久連子鶏は、平安時代に日本に渡来してきた小国鶏等を基とする、古い日本鶏種です。九州の秘境と呼ばれる五家荘久連子地区では、平家の落人たちが都を偲んで舞ったと伝わる「古代踊り」が連綿と踊り継がれてきました。そこでかぶる花笠は、長さ40cmほどの久連子鶏の雄の尾羽300枚以上がつかわれ、顔を隠すほどもっさりと飾られています。

久連子古代踊り(写真提供 八代市)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

踊りに欠かせない、黒く長い尾羽のため、久連子鶏も大切に伝承されてきたのです。関係者の方々が大変なご苦労を重ねてきた結果、久連子鶏は現在まで保存されましたが、近代化による外来種の流入や交通網の発達が、他の多くの日本鶏を雑種化させ、絶種させてしまいました。

裏を返せば、宗茂の生きていた戦国時代において、日本鶏は珍しくない家禽であったはずです。

 

ニワトリといえば外国鶏種のブロイラーを思い浮かべてしまう現代っ子のわたしには、兜の飾りに「ニワトリの羽根」を選ぶセンスは、すんなりとは受け入れ難い……

しかし実物は、一見すると黒単色ですが、光を受けるとキラキラと輝き、とても美しいのです。

 

この美しさは、展示ケースのガラス越しでは伝わらず、歯がゆく思っておりました。だからこそ、今回のオンラインツアーは絶好の機会です。こちらでもご確認いただけますが、ご覧いただくと、宗茂のセンスの良さを実感できます。

 

でも、美しいというだけで、宗茂はこの羽根を選んだのでしょうか?

宗茂がどんな視点でニワトリを見ていたのか、後半でもう少しフカボリしてみます。

 

オンラインツアー「立花宗茂の甲冑大解剖~すべて魅せます!表も裏も細部まで~」は、オンラインだからこそできる内容を目指した当館初企画です。第1回目は「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」。展示中の甲冑を脱がせながら、裏側をのぞいたり細部に肉迫したりと、植野館長が直接カメラで撮影をしながら解説します。付録の「立花宗茂の甲冑大解剖解説冊子」(B6版16頁オールカラー)も充実しているので、例えば徳川家康とか、他の武将の当世具足を鑑賞するときにも必ずお役に立つことでしょう。

 

参考文献 八代市HP「久連子鶏」、八代市HP「久連子の古代踊り」、熊本県HP「久連子鶏」、日本家禽学会HP「日本鶏の紹介」、農林水産省HP 広報誌AFF 2016年12月号「特集1とり」、今村安孝「久連子古代踊りと久連子鶏-ヒトとニワトリの関わりと久連子鶏のルーツ」(『畜産の研究』第59巻第3号 2005.3.1 養賢堂)、松崎正治・山下裕昭「熊本県のニワトリ遺伝資源」(『動物遺伝資源探索調査報告書』第16号 2006.3.31 農業・食品産業技術総合研究機構農業生物資源研究所)

 

***ココまで知ればサラに面白い***

学芸員として人前で作品解説をする際、ココまで知ればサラに面白くなるけれどと思いながらも、時間等の都合でフカボリせずに終わらせることは少なくありません。そんな、なかなかお伝えする機会のないココサラ話をお届けします。

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